「テンパリング」って知ってる? 〜チョコレートの艶と口どけの秘訣〜
こんにちは!
急に暑くなり、バテているこの頃です。(といっても食欲はありますが...笑)
さて、先日お世話になっているパティシエ兼ショコラティエの方とお話しする機会がありました🍫
新作チョコレートの構想について伺っている途中、
シェフが突然「テンパリングって知ってる?」と。
一般的にみたらスイーツ好きである私。
もちろん「テンパリング」という言葉は聞いた事がありますが、
「溶かしたチョコレートの温度を調整して輝きを出すやつでしょ!!」程度の浅い理解...
そこでさらに「Ⅴ型結晶って知ってる?」と。
すみません、降参です。知りません。
ということでシェフに軽く説明をいただきましたが....
もっと知りたい!ということで、これを買ってしまいました。
この変な好奇心をどうにかしたいです....が、やはり楽しい。
この1冊にチョコレートの歴史、カカオの木から製品になるまで興味深い内容が詰まっています!
全部ご紹介したいですが、今回はテンパリングに焦点を当てます。
この本によると、テンパリングは
チョコレートの見た目と食感を整える工程
ということなのですが、これをもう少し詳しく見ると、
6種の異なる結晶構造をもつココアバターの
不揃いな結晶の形を整える工程
といえます。
うん。難しい。
もう少し詳しく説明しますと、
チョコレートはココアバターの中に、カカオや砂糖の微粒子が分散している状態。
そのココアバターにはⅠ〜Ⅵ型までの6種の結晶があり、
V型結晶のみ、光沢と噛んだときのスナップ性をもつ
と言われています。
この6種の結晶構造の融点はそれぞれ異なります。
つまり、その差を利用してⅠ〜Ⅳ型までの結晶はすべて溶かし、
「V型結晶」のみを残すことがテンパリングの目的
ということができます。
融点の差をまとめると以下のような形になります。
以上を踏まえて、具体的にどうやって作るのか?と言うと、
3段階の温度に合わせて加熱と冷却を行います。
- 45℃に加熱し、チョコレート中にある結晶をすべて溶かす。
- 26~28℃になるまで冷却し、Ⅳ型・Ⅴ型だけを結晶化させる。
- 28〜30℃になるまで再び加熱し、Ⅳ型を溶かし理想的な性質をもつ「Ⅴ型結晶」だけを残す。
⚠︎テンパリング温度はカカオ豆や材料の種類で変わってきます。
⚠︎Ⅵ型結晶はテンパリングの工程では発生せず、Ⅴ型を長期間放置したのちに初めて発生します。
→このような温度の微調整を行うことで、艶艶・口どけを実現しているのですね...👏
みなさん我々が食べるチョコレートの口どけと艶めきの裏にはこのような細やかな仕事が隠されていることご存知でしたか?
これからは一層、チョコレートの口どけと輝きに注目してしまいそうです...
余談になりますが、
お話しさせていただいたシェフはアイスも作っていらっしゃり、
チョコレートアイスにはこだわりのチョコチップが使われています。
そちらのチョコチップは、
アイスにより口内温度が下がることを計算して、ⅱ型結晶を作るなど調整をしているとか。
私が感激していると、
「調整で色々なことができるんだよ!
冷凍庫の中でやらなきゃだけど。」
と笑顔で。
より美しい、美味しいチョコレートのために身を削っているシェフの姿を想像し胸が熱くなりました。
日々何気なく口にしているチョコレート、テンパリングだけ見ても奥が深いですね...
1粒1粒に込められた作り手の想いと努力の姿を胸に、大切にチョコレートをいただきたいと思います!
お話しいただいたシェフ、
最後まで読んでくださった皆様ありがとうございましたm(_ _)m